
“記憶”から“形”へ。
思い出が宝物になるファミリー企画
— 家族で探して、撮って、並べて完成させる。
施設の満足度を体験設計から変えるフォトパズルラリー —
背景
大型商業施設の中でも、ファミリー層の利用が特に多い施設。レジャーやショッピングなど「来る場所」として親しまれてきたが、顧客満足度のさらなる向上と「記憶に残る施設」へのアップデートが求められている。
私たちはこの課題に対し、「体験価値のデザイン」からアプローチ。施設滞在の満足感を、“家族で過ごした時間が宝物になる”仕掛けへと昇華させる企画を提案した。
提案内容
私たちが重視したのは、「体験を価値に変える設計」です。
大型商業施設においては、回遊や購入といった“行動”を促す施策は多くありますが、実際に来場したお客さまの記憶に“何が残ったか”を問う取り組みは少ないのが実情です。
一方で、ファミリー層は「家族で何をしたか」だけでなく、「家族でどう感じたか」「どんな思い出になったか」を重視します。その中で、“記憶に残る時間”をどのように提供できるかが、施設への好意や再来訪の動機を左右すると考えました。
今回のご提案は、そうした体験価値を“見えない満足”ではなく、“見える成果”に変えるための仕掛けです。
- 「記憶に残る」=館内を巡りながら、家族で話し合い、写真を撮る体験
- 「形に残る」=その写真をプリントし、自分たちの手で並べて完成させる一枚
という二段構成で、記憶→行動→成果の流れを作り、「また来たい」と思っていただける感情を設計しました。
単なるスタンプラリーや写真投稿キャンペーンではなく、“その場での発見”と“自分たちの手で完成させる楽しさ”を軸にした本企画は、満足度の向上だけでなく、家族の中で語り継がれる体験を生み出します。
STEP 1|記憶に残る場所へ
“正解のない探検”で、家族の会話を生む
館内のいたるところに点在するフォトスポット。そこには次のような“仕掛け”があります:
- フォトスポットは、大きな絵の一部(パズルピース)としてデザイン
- 10〜12箇所のうち、正解は5〜6箇所のみ
- どれが本物かは、撮影して並べてみないとわからない
この仕掛けにより、家族の間で自然とこんな会話が生まれます:
- 「この絵、なんか一部っぽいね?」
- 「これは正解かも!とりあえず撮っておこう」
- 「全部撮ったけど、どれが当たりだったかな?」
写真を撮りながら館内を巡ることで、回遊促進だけでなく、家族間のコミュニケーションを育み、体験そのものを“記憶に残る遊び”として設計します。
STEP 2|形に残る場所へ
“プリントアウト”という行為が、記憶を宝物に変える
スマホでの撮影が当たり前の時代だからこそ、「1枚を選んでプリントする」ことに意味があります。
- 館内に設置されたポラロイドプリンターを使い、家族ごとに1枚だけ選んで印刷
- フォトスポットの写真は、正しく並べると1枚の絵になるように設計
- 印刷した写真を手に並べることで、キーワードや隠し絵柄が浮かび上がる
プリント後は、家族でテーブルを囲んで“答え合わせタイム”:
- 「ここが端のピースかな?」
- 「これとこれ、繋がってるね!」
- 「全部揃った!メッセージが出てきた!」
完成した写真は、そのまま持ち帰れる思い出の1枚に。
単なる記録ではなく、“形にした記憶”として、家族の中で長く語り継がれる体験を生み出します。
まとめ
本企画は、ただのフォトスポットやスタンプラリーに留まりません。
「探す・撮る・選ぶ・並べる・持ち帰る」までの一連の体験を通して、家族の記憶と感情を施設内に丁寧に定着させる設計です。
特にファミリー層にとって大切なのは、「何を買ったか」ではなく「どんな時間を過ごしたか」。本施策は、そうした“思い出消費”に着目し、記録ではなく記憶に残る時間を形に変える体験を提供します。
写真を選ぶ、プリントする、並べるというプロセスは、単なる娯楽ではなく、家族の会話や共感、達成感を生み出す仕掛けです。 そこには「また来たい」「次は違うピースも探してみたい」と思わせる自然な動機づけが備わっています。
大型商業施設にとって重要なのは、“その日限りの満足”を“心に残る思い出”に変えていくこと。そのための鍵は、感情の共有と“形に残す価値”の提供にあります。
体験が終わるのではなく、完成する。そしてそれが、家族の宝物になる。
本企画は、そんな“記憶のアップデート”を促す体験価値提案です。
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