
「伝統のその先」を描く、新しい和婚のかたち
― 時代とともに進化する「受け続ぐだけではない」文化提案 ―
背景
少子化や価値観の変化により、結婚式のあり方が大きく変わりつつあります。
「式は挙げない」という選択肢や、ウェディングフォト・ハネムーンへのシフトなど、結婚にまつわる儀式の意味が多様化しています。
歴史ある式場の中には、挙式数の減少、リピート来館の低下、新規集客の難化など複合的な課題に直面しているケースも少なくありません。
「伝統を守りながら、どう時代と向き合うか?」それが今、多くの老舗施設に突きつけられているテーマです。
提案内容
結婚式の“形”が変わっても、そこに込められる“想い”は変わりません。
形式にとらわれず、今という時代の感性を重ねることで「未来の伝統」へとつなげていく。そんな発想から本企画は生まれました。
たとえば、かつての神前式も、誕生当時は“最先端の文化”でした。
今という時代に「いま、誰かを祝いたい」と願う気持ちが新しい様式を生むのだとしたら、その積み重ねこそが“本当の伝統”です。
プロトタイプ:結 -YUI-
「文化をまとう、あたらしい日本」をテーマに、和装の思想と洋装の技術を融合したウェディングドレスを制作。
着物文化に宿る「直線」「重ね」の意匠を、“彫刻”のような構造美としてデザインしました。
- 構造:どの角度から見ても、線と層が立体的に映える
- 美意識:曲線美ではなく、直線構成が持つ“静かな強さ”を際立たせる
「結 -YUI-」概念ドレス
直線的な構造美と重ねの意言を現代的に再構成したウェディングドレス。日本文化の「直線裁ち」や「層の美学」が押し出されます。
- 曲線美ではなく、折り紙のような構造美
- 正面・側面・背面すべてのアングルにおける層の美しさ
- 内面性や智性を映す素晴らしさ
文化をまとう 6色プラン
- 白 × 紅:いのちの循環を象徴する伝統色
- 白 × 金:神聖と誓いを表す最上礼装
- 白 × 桜色:やわらかく、光とともに移ろう季節感
拡張可能な展開
- 花婦版:直線 × 立体 × モノトーンの新礼装
- ペア写真における「線の交差」をデザインしたビジュアル
- 文化を伝える「帯結びアート動画」の展示
まとめ
式のスタイルが変わっても、人生の節目を祝いたいという気持ちは変わらない。
だからこそ、私たちが未来に届けるべきなのは、“かたち”としての伝統ではなく、祝う心を映す“体験”なのだと考えます。
古き良き様式をただ守るのではなく、現代の感性や価値観を柔らかく取り入れながら、今の人たちが“自分たちらしく”選びたくなる形へと進化させていく。
その試み自体が、次の世代へ受け継がれる「未来の伝統」を育むことにつながるはずです。
そしてその第一歩として、時代に合った象徴的なビジュアルやプロダクト、記憶に残る空間体験を創出することが、ブランドとしての信頼をより深く、より広く育てていく鍵になります。
150年後に、「あの時代、こんな形の結婚式があった」と語られるような文化を今、つくりませんか。
伝統とは、更新され続ける美しい記録なのです。
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